等級格差
2023年は等級格差の大きい年!
お米には『等級』が存在します。「見た目」判断の1・2・3等級と等級外です。それに食味を加味したのが『特A』ですが特Aは地域単位で発表されるので個人評価はされません。
最近では見た目+機械を使った割れや粒揃いなんかも審査に入る場合もあります。
とは言え大概が人の目で判断します。
そこで疑問が出るわけです。
検査人によって等級が変わる場合があるんじゃないのか?と言う疑問です。正直、農家感覚で言えば「あります」
とは言っても明かな差ではなく、1等とも2等とも言える微妙なものをどちらにするかと言った場合が多いと感じます。
とは言え今年はこの差がだいぶ開きました。
とある出荷先では2等から3等級なお米が別の出荷先に変えたら1等にになるなんて事がおきました(・_・;
私が知る限り、秋田おばこ農協(秋田県内で一番お米の栽培が盛んで栽培面積も一番多い地域)管内の秋田おばこ集荷米の1等率は1〜2%との事でした。
10%ではありません1%です((((;゚Д゚)))))))
例年は90%を超えてます。
それでいて他の集荷業者では1等率が50%との事、差がありすぎます。
が
実際のところ等級が家庭に与える影響はそんなにありません
影響があるのは、農家と精米作業をするところが主です。
集荷業者は事前に取引業者と品質と等級の相談をして取引を決めている様で、だからこそ、繰り上げ特級ができてしまうみたいですね(・_・;
まぁこう言ったことは広範囲自然災害等の県を超えた被害が起こった時くらいしか起きません。なので2023年は数県か全国的に被害が出た年だったと言うことになると思います。
それほど、米農家や米を扱う業界が危機的な状況になったとも見れます。
昨年と比べてみよう(秋田の収穫量と価格)
2022は、7月の長雨で稲が分けつ(枝分かれ)できず、収穫量が減った上に、コロナウィルスの影響で買取価格も私が就農してから2番目に低い年となりました。
それに比べると2023年は2022より収穫量は増えていますし、2等の価格が2022の1等価格より高い。
ただし
燃料光熱費、生産資材費の価格が1.5倍とか2倍とかになっているので、実際は昨年より断然キツイし昨年は生産保険(通称ナラシ )が適用になったが、今年はならないのでさらにキツい年となります!
結局、2年連続でキッツイ年になったと言うことです。
とは言え・・・
等級検査のあいまいな所はいかがなものかとも思います。
理想的には等級は厳密に!でも価格は2等でも1等米価格で企業努力として買うと言う方がいいと思うけど・・・流通全体を同じ価値観で統一でもできないと無理な事も想像はできる(ー ー;)
その上、厳密な等級と価格でどれほどの農家が潰れるかも想像ができてしまう。
正直農家側からすると「本当に感謝」ではある。
比べてみよう(品質と味)
正直に言います。2022のお米の方がおいしいと思います。
ただし
低温貯蔵庫などで適切に保管されたものに限ります。常温保管の場合はやっぱり新米の方がおいしいでしょう。栽培の上でも保管の上でも今年の7月の高湿と8月の猛暑は影響がデカすぎます。
なので「適切に保管されていたお米」は超おすすめです。たまにこう言った年があります。
新米はうまい。は低温庫のある現代では絶対ではありません。古米のほうがおいしい事も意外と多いんです。なので正直我が家のお米も、2022年産米の方が私はおすすめですf^_^;
こんな年ですが、一応我が家のお米は1等米評価を獲得しました。検査いただいた農協の方からも「今年の1等は誇っていいよ」と言ってもらえました(^○^)地元農協で唯一の1等評価米だそうです。所属農協全体でも1〜2%と言う事なので、「上位2%」に入ったことになります。素直に嬉しいですv(^_^v)♪
しかも、と言うかいつもの事なのですが、1等米の出にくい私の栽培手法で色彩選別機も使わず1等米を達成し続けて、こんな自然被害の多い年においても1等を維持できた事は本当に自信になりました。
最後に
とまぁ、何かと「内側」からも疑問視されている話題について書いてみました。
農業者以外には知る人の少ない事だったと思います。農業者自体も「いいことではないよね」と思ってはいる事なので同業者以外では話す事がない内容です。実際この格差によって出荷先を変えた農業者も多く、それを「売り」に営業をかけた業者もいました。当家も「業販向け栽培米」に関しては少しでも高く買ってくれる所に販売しました。それなりの生産量になってくると少しの差がとてもすごくなってきます。基本薄利多売の業界なのでみんなギリギリの中で生活し栽培しているのが現状です。それでも、もう数年すれば、AI検査が行われる様になってくると思います。そうなれば、この格差もなくなっていくのかなぁなんて思います。